ギミー・ギミー・ギミー
30歳になった。
リアルかロマンか
誕生日に限らず、プレゼントについてざっくりと2種類の考え方があると思う。
・要らないと思われたら困るので、欲しいと言っていたものをあげる
・あげる側が何をあげるか考えてあげる
どっちが正解ってことはないと思うけれど、歳をとるにつれて後者の考えに寄ってきている。
自分が何かをあげる時に特に欲しいものは訊かないし、もらう側でも訊かれない限り言わない。
一番それっぽい理由としては、必要であるもの本当に欲しいものはどうせ自分で買うだろうから。
どちらかというと買おうかどうか迷っていたものとか、試してみたかったものとか、思いもつかなかったものの方が面白いなと思う。
まあ、その上で結局「なんだよこれ」みたいな結果もあるとは思うけれど、それはそれで思い出になるというものだ。
もらったもの
印象的なプレゼントでいくと
これなんかもそうだな。
人生で初めてVANSのスニーカーを履いたのももらったから。
なんとなくその頃はコンバースだけをひたすら履くのがクールだと思っていたから、
「これ、お前コンバースしか持ってないから、いいかなと思って」
と渡された際「え~VANSかよ~」と思ったものだが、今考えてみるとちょっとした転機であったかもしれない。
ぼくの家で友達を集めて週3くらいで飲んでいる時期があって、その頃の誕生日にはヴィレヴァン詰め合わせパックをもらった。
青い7セグの時計とか、クッションとか、みんながみんなぼくの部屋を好きなようにカスタムするためのセットである。
それによって週3が週4になり、常にたばこ臭さと男臭さの抜けない部屋になってしまったが、それはそれで面白かった。
バンドをやっていた頃、ストーンズのレッツ・スぺンド・ザ・ナイト・トゥギャザーの映画パンフレットをもらった。
こんなもんどこで見つけてくるんだ。結構レアものだと思うんだが。
また、プレゼントといっていいのかは分からないが、バンドに関連したもので言うと
ヤンマガやヤングキングで連載されている渡邊ダイスケさんがライブにいらっしゃったことがあり、CDも買ってくれた。
その当時ぼくは(いや今もかもしれないが)図々しい性格をしていたので、「おなしゃす」とか言いつつ、スケッチブックに似顔絵を描いてもらった。
めちゃくちゃ北斗の拳のシンだった。
あげたもの
あげたものは結構忘れていることに気づいた。
結構というか、直近のことしか覚えていない。
まあ、もらった側の方で思い出になっていてくれたらいいのかな。
ひとつ思い出したのは、20歳くらいの頃に渋谷で待ち合わせし、彼女が遅刻してきた日のことだ。
ぼくは時間にルーズな人(5分とかそれくらいの遅刻ではなく、30分単位の遅刻を何度もする人)が許せないタイプで、何度目かのその日キレた。
険悪な空気になり、特に彼女を振り返るでもなく勝手に歩き出すぼく。
まあなんだかんだで謝りながらついてくるだろうと思ったら、普通にはぐれた。
でもこっちから歩み寄るのも癪なのでタワーレコードで適当に時間をつぶしたのちに「今どこ?」とメール。ラインだっけな? まあいいや。
「電車」
え、帰ってんのかよ?
いやいやなんでやねん……お前が悪いんだろ関西弁にもなりますわ、といったところで、いつものように気持ちが落ち着いていた。
イライラすることやキレることは少なくないが、大体瞬間的なもので、30分もすればまあいいか、と思う。こう書くとすごくヤバいやつみたいだな。
仕方ねえなあ……と思いつつ、「とりあえず渋谷戻ってきて」とメールし、仲直りをするために何かあげようと思ってマリメッコのバッグだかポーチを買った。
喜ぶだろうなと彼女が来るのを待っていたぼくは、めちゃくちゃにやにやしていたという。
ちなみに、ファッションに興味のなかった彼女は、マリメッコのウニッコを知らず「ティッシュの箱みたいだね」という感想を漏らしていたとか、いないとか。