さよならを言うあたしなのよ

フー・ファイターズ
それはきっと別のハル。

黎明

先日ミクシィについて書いたが

今回はそれと同時期もしくはさらに昔のガラケー真っただ中時代のインターネットを思い出してみたい。

多分中1か中2くらいの頃。
当時はインターネットもそこまで発達しておらず、今では聞くことのないISDNとかADSLとかそんなフレーズが跋扈していた時代である。

我が家にもインターネットがやってきた。

それまでは親のケータイを勝手にいじってゲームのやりすぎやらエロサイトの請求やらで怒られていたハル少年だったが、これからは誰にも邪魔されず大画面でインターネットをすることができるのだ!
正確に言うと、ほぼぼく個人のパソコンを買ってもらったが、結局家族兼用みたいな感じになったので、誰にも邪魔されずというのはちょっと違ったけれど。

友達でやたらパソコンに詳しい奴がいた。
彼からチャットという概念を教わった。彼は中2にして自分のウェブサイトを作っていた。
ネットリテラシーがまるで形成されていないハル少年は、彼に誘われるままにチャットに顔を出し、彼の本名を連呼した。なんの悪意もなく。マザー2のファンサイトだった。ぼくはマザー2をやったことがない。ゲームをあまり買ってもらえない家庭だったのだ。
会話の内容が理解できなかったのでとりあえず名前を連呼。最低のガキである。

ゲームをあまり買ってもらえなかった反動でインターネットの面白さにがっつり食いついたが、結局親のケータイを勝手にいじっていた時のように高額の通話料の請求で怒られ、結局定額のネット専用回線を契約してもらうことになった。
若者にはまじでピンとこないと思うけれど、固定電話の回線を使ってインターネットをやっている時代だったのだ。
使っている間はずっと話し中扱いで、通話料金が加算され続けるっていう、今では考えられない体系。

マザー2が分からないので、当時大好きだったバンプオブチキンのファンサイトに顔を出すようになった。

ファンサイトなるものは今相当減ったと思う。
情報を持っている人間が独自に発信する場所がファンサイトだったのだ。
今みたいにライブがあって終演後すぐにセットリストをファンがSNSでツイート、なんてできない時代。ライブを観に行って、なおかつ自分のウェブサイトを持っている人間がいちいちページを作って、そんな貴重な情報を他のファンが覗かせてもらっていた。

ぼくも件の友達にサイトの作り方を習ってトライしてみたものの、労力の割に面白くない、ということでやめてしまった。
もっと手軽な発信ツールとして、高校生になってからブログを始める。

授受

その頃からぼくは文章をしたためることが好きだったらしい。
mixiやらクラスの連中で作った魔法のアイランドの日記ページ、そしてヤフーブログ。他にもどこかで何かを書いていた気がする。
クラスの日記ページは、開設から卒業まで一度もさぼらず毎日書いた。

ヤフーブログはなかなか面白かった。

バトンという文化があって、いくつかの質問を人にパスする。
好きなファッションブランドは?
よく行くコンビニは?
みたいな他愛のないものから、
付き合った人数は?
理想の恋愛は?
みたいな少し突っ込んだものまで。

それをブログ仲間から「ハル君よろしく!」と託され、ぼくはブログでそれに回答し、また誰かにパスする。

自分のブログは何かのタイミングで削除してしまいもう確認することはできないが、当時つるんでいたブロガーのところを覗いてみると、バトンの中に自分の名前やらコメントやらがあって懐かしくなった。
ヤフーブログはかなりオワコンで、残存しているブログも10年以上更新されておらず廃墟のようなものだけれど。

ツイッターのフォロワーで「あとから自分の(黒)歴史を確認するべく恥ずかしいことも書いて記録しておく」という方がいて、「よくもまあそんな無謀なことを。絶対赤面間違いないのに」と思うのだけれど、やっぱり面白いこともある。

そしてぼくが大学生になり、新歓コンパに参加しまくっていた際に、ヤフーブログで知り合った方と実際に遭遇する機会などもあった。
そもそも「え、〇〇大学なんですか? 俺もなんですよ! サークルどこですか?」なんて話をしていたのか、会って話しているうちに分かったのか、どっちだったのかは記憶にないが、とにかくそんな感じだ。
そうして知り合った人たちの大半はもはや連絡先も分からない状態で、悲しいというほどではないが、久々にヤフーブログを覗いて不思議な気分になった。

ちなみに当時もファッションと音楽についてのブログを書いていた。

浮遊

ツイッターでフォローしている人に関しても似たようなことが言える。
あくまでネットを介しての繋がり。
友達というほどの関係性ではない……にしても、知り合い、くらいにはカウントしていいのではないだろうか。

そういう人たちのツイートが急にぱったり途絶えたりしても、ぼくにはその人に何が起きたのか知ることはほぼ不可能である。
単純にパスワードが分からなくなっただけなのか、怪我でもしたのか、死んでしまったのか。

ごめんなさい。こういうときどういう顔をすればいいかわからないの。

悲しむというほど親密ではないケースがほとんどなのだ。
だから、やっぱり不思議な気分という他ない。
頻繁にリプライのやりとりをするような仲だったらもっと何か思うのだろうけれど。

ネットの海には、そうして削除されることなく中の人が消えてしまったブログやSNSなどのアカウントが無数に漂っている。

夢想

いつかぼくが急にブログやツイッターを更新しなくなったら……
その際は、第二のハルがぼくの理念を受け継いで自動的に復活するというシステムを構築しよう。

なんてアホみたいなことを考えて、ちょっと怖いからそういうのは嫌だなと思った。