血液を探せ!

ハチ公前献血ルーム
献血にまつわる話。

献血に行く理由

人に親切にすれば、それは巡り巡って返ってくる。情けは人のためならず。
そんなある種こどもじみた理屈をぼくは割と信じているほうで、しかしそのくせ普段なにか善行をしているのかと問われれば自信はない。

その穴埋めなのか、献血が好きだ。
献血をすると、今日はいいことをしたという、シンプルな満足感がある。

それと、ここでも書いたのだが

血を抜かれるといつもより若干体力が低下する感じがあって、その非日常感も嫌いではない。

献血の記念品

さて、献血ルームでは、記念品をもらえることが多い。
地域とかシーズンによって変わり、その都度「今回はこれか」と思わされる。意外と幅広い。

そんな中から記憶にあるものを紹介したい。

ポテトチップス

ブルボンのプチシリーズ、うすしお
どこにでも売っている、例のあれだ。

記念品ってこういうことだっけ……?

献血ルームは大抵お菓子が常備されている。
だから、わざわざポテトチップスを手渡されても、もらった感覚が希薄だ。

「記念品のお菓子です」
いや、にこやかに渡されても………
そこの棚にもいろいろ置いてあるし……ポテチはないけどせんべいとかさ……

文具類

これは、結構バリエーションが多い。
ボールペンとかメモ帳とかクリアファイルとかふせんとか。
献血のマスコットキャラが印刷され、使うか使わないかは別として、無難な記念品ではある。

いや、もらったときは「文具ならばもらって困ることはない」などと考えているが、実際使ったことはない気がする。

せいぜいボールペンだろうか。

ボールペンも、さらさらと書ける水性だったり、消すことのできるフリクションタイプのものだったり、そういう色気はない。
銀行で何か記入事項のある際に使う、朱肉と一緒に置かれている、あの最もボールペンらしいボールペン。

うちわ

これは開封さえせず捨ててしまった。
なぜなら、シーズンオフだったからである。

夏の間に配ろうとして、余ったのか。
もらったのは9月の半ばを過ぎた頃だったと記憶している。

うちわといっても、夏場あちこちで配られているような普通のうちわではなく、折りたたんで小さくしてカバンにしまえる便利グッズではあったのだ。
しかし、うちわで扇ぐほど暑くもなく、そして翌年まで保管しておく自信もなかったので、捨てた。

「今回で献血回数が10回になりましたので、帰りに盃をお受け取り下さい」

何を言っているのだろう、と思った。
盃を受け取る……?
10回献血をすると、赤十字の舎弟になるのだろうか。

「盃、というのは? 一体何ですか?」
「なんて説明したらいいでしょう……ガラスで出来たおちょこみたいなものをお渡ししているんです」

受け取ってみると、確かにガラスで出来たおちょこだった。そうとしか言いようがない。
普段よりは明らかに豪華な記念品で、装丁もがっしりしていた。

献血というのは一度やるとしばらくの期間できなくなるから、10回やろうと思うと3年くらいはかかる。
これは可能日が来たらすぐにやる、というサイクルを繰り返したらの話で、ぼくは時々思い出したようにやるだけだから、絶対にもっとかかっている。

普段より豪華な記念品(中にナントカという職人が作りました的な紙が封入されていた)だったが、やはり家でガラスで出来たおちょこを使う機会は今のところない。

スプーン

これだ! 1番の当たりは。

カチコチのアイスを、手から伝わる熱で溶かしながら食べることのできるスプーンが少し前に話題になった。
それを献血ルームで渡していたのだ。気が利いている!
こういうのでいいんだよ。アイス嫌いな人いないもんね(いるか?)。

ただ、もらったのはぼくではなくて、隣のお姉さんだった。

ぼくは次回持ってきたら記念品と引き換えるというカードを渡され、次回それでプチシリーズのうすしおポテチを手にすることになる(ふりだしにもどる)。

猛者

ちなみに、ぼくの腕は血管がかなり分かりやすく浮いているので、「針、刺し放題」だとか「初心者にも安心」だとか、献血ルームのナース様たちに好評を頂いている。

比較的、献血ルームの職員さんは話好きの方が多い印象で、雑談をよくするのだが、100回以上献血をしている猛者もいると聞いた。
年に3回だとしても30年以上かかる(ちなみにぼくはやったことがないが、成分献血だと必要な成分だけ血液から抜き、残った血液は身体に戻すため負担が少なく、もう少し高頻度でできるという)。

そこまでいったら、もう本当に杯を交わしたっておかしくないだろう。